Study Tour in Cape Town②
前回の続きです。
プログラム要旨
Digital Innovation
Fintech、Healthcare、Agriculture、Logistic、Educationの分野でそれぞれどのようなサービスがあるかを学びました。携帯からインターネットにアクセスできる人の割合が61.5%とそれなりの普及率のため、他国同様Digital Innovationに注目が集まっています。すべてが南アフリカのスタートアップではありませんが、紹介されたいくつかのサービスについて記載します。
Fintech(一番需要があり、かつ重要度が高いとのことで最も時間かけて説明を受けた分野)
他の新興国同様に50%程度の人がコストを理由に銀行口座を持っていないため、Mobile money(携帯にチャージして残高を送受金)が主流とのことです。幸い日本では口座残高なしでも無料で口座を維持できますが、多くの国はでは口座維持手数料がチャージされます。M-pesa、Jumo、M-Shawariなどがメジャーなサービスのようです。ローンについては携帯から得られる借り手の情報を収集してローン金額や金利を決めて融資条件を決めるサービスがあります。その他、ローン返済をサポートするファイナンシャルプランナーのようなサービスも提供している会社もあるとのことです。今回紹介されたFinTech系のサービスをまとめた記事がありましたのでリンクを貼り付けておきます。
Healthcare
薬や食物の成分を分析できる小型デバイス(SCiO)
Logistic
僻地に輸血用血液をドローンで運ぶサービス(Zipline)
Agriculture
天候によって保険料を自動的に計算して支払うサービス(OKO)
Black chainで作物を追跡できるサービス(Bext360)
Education
AIを使って生徒の学習をサポートするサービス(現在開発中)
アプリを使って検索するとAIが自動的にGoogleなどから情報を集めて要点をまとめてくれる機能とのこと。オフラインでも使用可能のようです。
Entrepreneurship
フィリッピ(Philippi)地区にあるケープタウン大学の校舎に行き、Township(旧黒人居住区)に住むアントレプレナー達と意見交換をしました。校舎は廃工場を改造した建物の一角にあり、周りはコンテナの家や掘っ立て小屋がたくさんあります。
一番印象に残っているのは一人のゲストスピーカーが投資家について「投資されたくない。彼らに搾取されるだけだ。」というコメントをしたことです。通常は事業を開始するためにとにかく投資してもらいたいと考えるものですが、歴史的背景からか「不信感」が根付いていると強く感じました。彼女は結局クラウドファンディングで資金を集めてオンラインストアーを始めました。ただ、オンラインストアと言っても手数料が高いため、オンライン上での決済が普及していないという問題があるようです。もう一人のアントレプレナーは学校の教材が十分にないことに目を付けて子供たち向けのVR教材提供サービスの準備を進めているとのことです。彼は運よくプログラマーや投資家に出会い、学校側との商談も順調に進んでいる様子でした。
大学側ではこういった生徒に定期的にアドバイスをするだけでなく、大学のOBを呼んで生徒達に新規アイディアのピッチをする機会を与えているとのことです。
わずか4日間(最終日は我々のプレゼンのみ)でしたが、たくさんの現地の方から話を聞く機会があり、一気にケープタウン・南アフリカの現状を多面的に知ることができました。その中で間違いなく成長ポテンシャル(低所得者層の多さ、教育などまだまだ色々な面で改善の余地あり)のある国であることが確認できた一方でいまだに根深く残っている人種間の格差、汚職、WIFI含めたインフラ問題など期待通りの経済成長を成し遂げるには多くの課題があるとも感じました。
Study Tour 後
6月中旬からエレクティブクラスがスタートしました。12ヵ月(ESADEは12、15、18 ヶ月の3つから選択可能)で卒業する生徒は夏の間に集中して単位を取得します。一方で15、18ヵ月で卒業する生徒は夏休みとすることもできます。夏休みの利用方法は旅行したり、インターンシップをしたりと様々です。私は幸か不幸か就職先が決まっているため、入学前から決めていた通りESADEのSUD Programというのに参加して発展途上国でボランティアをすることにしました。私の派遣先はエルサルバドルです。詳しいことはまた次回にしたいと思います。
以上