ESADE Business School 留学記

MBA留学のみならずラテン文化についてもお届けしたいと思います。

CBI④

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15週にわたって続いたCBIのファイナルプレゼンテーションが先日終わりました。

最後にレポートを提出しなければなりませんが、一番大事なプレゼンを無事乗り切れたのでほぼプログラムの95%が終わったと言っていいでしょう。それでは最後に提案したソリューションについて簡単にご案内したいと思います。

 

ソリューション(Awareness & Communication)

我々の選んだペインポイントとしては、以下の4つです。

1.80%の人が洪水発生の事前情報を得ていない(我々の独自アンケート結果)

2.正常性バイアスによりリスクを過少評価

3.60%の人が洪水対策情報を受け取っていない(我々の独自アンケート結果)

4.50%以上が洪水発生中に電話やインターネットでの通信障害を経験(我々の独自アンケート結果)

 

それに対する我々の最終的なソリューションは、以下3点です。

1.ARスクリーン:数日後に起こりうる洪水(浸水何センチかを予測)をビジュアル化するARスクリーン→ペインポイント1、2

2.App : 天気予報・警報情報、洪水対策チップ、リアルタイム洪水予測情報+map、チャット機能等(ARスクリーンからダウンロード可能)→ペインポイント1~3

3.mesh network : インターネットのない状況下でもチャットできる機能をAppに付加→ペインポイント4

 

いずれも技術的には実現可能なものとなります。

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※スクリーンはショッピングモール、駅、バス停等に置くことを想定

 

何だかペインポイントとソリューションがたくさんあって少しごちゃごちゃしてしまった感があるのは反省すべき点です。最初はテーマがAwarenessのみだったのですが、直前になってエンジニアがそれでは技術的優位な点が少ないといい、3時間ほど議論した結果、ペインポイント4とソリューション3のCommunicationパートを追加することになりました。

 

プロトタイプ

プロトタイプは画面の前に立つと写真のように水の中にいる自分をみることができるものです。前に進むと水の深さも変わります(写真はモニターに映ったものを撮影)。エンジニアが2~3日で作成したものなので水のリアル度等は高くありませんが、プロトタイプとしては上出来だと思います。本気かわかりませんが、このソリューションに興味があるから後日連絡すると言ってきた人もいました。

この技術自体は既にいくつかのアプリ等で体験できます。一方で数日後に発生し得る浸水状況を体験できるものはまだないと思われる(少なくとも街中にない)ため、そこがウリの一つになります。

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その他のソリューション

他のチームのソリューションは以下の通りです。

・目の不自由な人向けのハイテク杖:信号や周りの環境を検知して利用に指示

・グリーンボックス:大気汚染のきついところに動いて空気をクリーンにする動くコケを装着した箱

・新型GPS : 窓ガラスに直接ルート案内や障害物等の情報を表示 

などなど

我々のチーム含めて相当悪戦苦闘してたどり着いたソリューション案になります。

 

メディア

スペイン語とカタラン語になりますが、スペインとバルセロナのメディアにも取り上げてもらいました。こうやって何かの形に残るのはやはり嬉しいです。

www.leconomic.cat

www.eleconomista.es

 

感想

メンバー:メンバー全員の国籍、バックグランド、年齢(最大10歳差)が違うだけでなく、うち2人は就労経験がほぼないという非常にダイバーシティーの高いチームでした。そのためいつも誰かが衝突していました。個人的には当初からこのチームで働くのは相当きつく感じていて、最初の1~2週間はものすごく逃げてしまいたい衝動に駆られていました。結果としては全体のタスク管理、リサーチ、プレゼン構成等でしっかりチームに貢献でき、約100人の前でのプレゼンもしっかりできたのでそういった葛藤を耐えて良かったです。

 

ソリューション:洪水の専門家がチームにいる訳ではなかったのでIdeationは相当苦戦しました。本当の世界ではここからプロトタイプのテストと改善を繰り返すフェーズに入っていくので本当はまだまだやらなければならないことがありますが、CBIではここまでになります。もちろん、プロジェクトを続けていきたいグループは続けることができます。

自国が洪水などの自然災害リスクの高い国であり、実際CBI中にも台風で大きな被害を受けていたこともあったので当事者意識を高く持って取り組んでいました。気候が大きく変動し、国自体の方針も以下の通りある程度の被害はやむなしとなっているのでこれまで以上に正常性バイアスに負けずに行動することが必要となっていきます。一方でまだまだ自然災害への危機意識というのが自分含めて低いなと色々な資料を読んで感じました。そういった思いを込めてAwarenessを問題点としてあげています。帰国した後も機会があれば微力ながら今回得た防災の知識を社会に役立てたいと思います。

最大クラスの大雨等に対して施設で守りきるのは、財政的にも、社会環境・自然環境の面からも現実的ではない

「比較的発生頻度の高い降雨等」に対しては、施設によって防御することを基本とするが、 それを超える降雨等に対しては、ある程度の被害が発生しても、「少なくとも命を守り、社会経済に対して壊滅的 な被害が発生しない」ことを目標とし、危機感を共有して社会全体で対応することが必要である。

参照:https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/saidai_gaisui_naisui/01/pdf/r01.pdf

 

最後になりますが、この15週間の密度はかなり濃かったです。デザインシンキングプロセス、洪水、MBAより更に高いダイバーシティー下でのディスカッション力、美しいプレゼン作成技術など多くのことを学びました。日本でこんな高いダイバーシティー化で働くことは中々ないと思うので非常に良い経験ができたと思います。高いダイバーシティー下での経験をMBAで求められている方には非常におすすめのプログラムです。

 

以上