ESADE Business School 留学記

MBA留学のみならずラテン文化についてもお届けしたいと思います。

Study Tour in Cape Town①

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テーブルマウンテンより撮影

 

 

Study Tourとは?

他国に1週間滞在してその国だけでなく各国毎に決められたテーマについて学ぶことができます。今年の選択肢はドイツ、南アフリカ、韓国、米国、メキシコでした。残念ながらメキシコと米国は人数が集まらず、今年はドイツ、南アフリカ、韓国の3ヶ国のみでの開催となりました。南アフリカ組はケープタウンに行き、ソーシャルアントレプレナー・都市農園・当地のテックビジネスなどについて学びました。このプログラムのアレンジはGraduate School of Business (通称GSB。University of Cape Townが母体となっているアフリカトップクラスのMBAスクール)で、講義もGSBにて行われました。

 

プログラム要旨

都市農園

需要と供給がマッチしておらず、いまだに多くの人が飢餓で苦しんでいます。そのため、少しでもミスマッチをなくそうと都市農園をする人が増えています。市内にある空地を買い取って、実際に都市農園を開園した方(Oranjezicht City Farm)から講義を受ける機会があっただけでなく、同じコンセプトを持つ農園に行く機会がありました。その農園は区画毎に貸し出し、一般人が農業経験をできるようにしています。政府主導で学校の隣に作られた農園では給食用の野菜を育てていました。子供もそこで農業体験をする機会があるとのことです。一方でまだはじめたばかりで十分な知識もなくぐちゃぐちゃな農園やここ数年干ばつが続いており、家庭農園を止めてしまった家(気候変動)などを訪問する機会もありました。また青空マーケットに行った際に、マーケットの人は都市農園ではなく郊外の農家から購入していました。理由としては、安い・供給が安定しているからとのことです。一見、メリットばかりに見えた都市農園ですが、実際色々な関係者を訪問することで問題点もたくさんあるということがわかりました。十分な知識のない農家に対してインターネットで調べればいいのではと思われるかも知れませんが、ケープタウンのあるWestern Cape州では家庭のWIFI普及率は30%程度ですが、低所得者層の家庭にはほぼWIFIがないため、簡単に調べることができません。WIFI使用料はだいたい月50ドルくらい(我々の感覚からはそこまで高いと思わない)と聞いたので普及率の低い理由は単純に所得の問題だと思われます。

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都市農園

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学校内にある農園
タウンシップ

タウンシップとはアパルトヘイト時の非白人居住区です。アパルトヘイト廃止後30年ほど経ちますが、今も変わらず黒人居住区となっています。今回はプログラムの一環としてランガ(Langa)とフィリッピ(Philippi)地区に行き、現地の人と話す機会がありました。インドや中南米のスラム街を想像していきましたが、ランガ地区の家は普通に住めるのではというレベルでした。一方でフィリッピ地区はたくさんの掘っ立て小屋がありました。水道も電気も通っていないコンテナハウスもありました。インド駐在経験からこういう光景に見慣れていましたが、一番衝撃的だったのは金持ちと貧困層の格差です。壁を挟んですぐ隣に白人達が住んでいるあろう立派な家があったり、立派なショッピングモールがあったりとあからさまな格差を感じることができます。

現地の方との会話の中で印象的だったのは全く他人を信用していないという点です。貧困地区ということでNGOや外部から来た人が色々な取り組みを行っていますが、地域住民達は変化を嫌がり、そういった取り組みにいかないし、子供たちも行かせたくないという話がありました。今まで話したことのある貧困層の人たちは自分たちの生活向上をしたいというモチベーションを持っている人が多かったので強く印象に残りました。一方で自分たちの置かれている状況は全く変わっていないということも言っていました。変わりたくないけど、変化がないということに対して不満を持っており、この状況が大きく変わるのはかなりの努力と時間が必要だと感じました(全くこれをすぐに打開できる妙案はありません)。 今回はプログラムの一環で訪問できましたが、旅行者向けのタウンシップ訪問ツアーもあります。実際にプログラムの中でKhayelitshaというタウンシップへの観光ツアーを立ち上げた起業家から話を聞くこともできました。最初は全く顧客がいなかったそうですが、今はAirbnbと提携したりと順調に顧客数は増えているようです。ご参考までにリンクを貼っておきます。

 

会社名:ABCD Concept

リンク:http://www.abcd-concepts.co.za/

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フィリッピ地区:写真中央の家を見ると明らかな格差が見える

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フィリッピ地区②

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スーパーマーケットと青空マーケット

この続きはまた次回に。